北イタリアの2都市(レヴァントとボローニャ)を巡る旅 Two Unique Cities in Northern Italy: Levanto and Bologna



井上ひさしの『ボローニャ紀行』に感銘を受け、かねてより思い焦がれていた、都市再生モデルのボローニャ。その町づくりのノウハウをぜひ見聞したいという強い思いに押されて、「オリジナリティに溢れる」「手作りの」ツアーで、ついに憧れの北イタリアへ行って来ました。

都会の喧騒から抜け出し、スローライフを実践するスローシティ(Slow City)の一つレヴァント(Levanto)では、スローライフを体感し、スロー・シティプロジェクトに関わった人の話に感動しました。井上ひさしの想いの詰まった創造都市(Creative City)ボローニャ(Bologna)でも、町の散策に加え、市役所の職員からレクチャーをしてもらい、町づくりの歴史・今後の展望について学びました。これらの町の魅力を、私達なりの目線で紹介したいと思います。
レヴァントはチンクエテッレ(Cingueterre)の入り口の町なので、チンクエテッレも少し紹介します。(English is to be given later)

レヴァント(Levanto)
ボローニャ(Bologna)
Part 1では・・・
  1. レバント、ボローニャって北イタリアのどこ?
  2. スローシティ・創造都市って?
  3. レヴァント:町の様子
Part 2では・・・

  • ボローニャ(Bologna):町の様子

Part 3では・・・
  • チンクエテッレ(Cingueterre):町の様子  をお届けします。

1) レヴァント(Levanto)、ボローニャ(Bologna)ってイタリアのどこ? Where in Italy are Levanto and Bologna located?

ミラノ(Milano)からイタリアに入国し、ジェノヴァまで行きます。
(   )の地名は、下の地図の表記と同じにしています。

レヴァント(Levanto)は、ジェノバ(Genoa)から南東90キロに位置していて、そこから南東の海岸に点在する5つの村(村を結ぶ電車や船、ハイキングで観光)を名所とするチンクエテッレ(Cingueterre)の西の入り口です。(東の入り口はラ・スペツィア:La Speziaです。)
ボローニャ(Bologna)は、フィレンツェ(Florence)から北東約110キロ、ヴェネツィア(Venice)から南西約160キロに位置

2)スローシティや創造都市って?  What are "Slow Cities" and "Creative Cities"?

スローシティとは、「スローフード(その地域の伝統的な調理や料理法を守り、ゆっくりと食すること)」の影響を受け、「ゆっくりとしたペースの生活」に価値をおいている町のことです。人口「5万人以下」という条件を満たしている必要もあります。
地産地消は勿論のこと、自然や環境との調和、その地域の伝統や文化の継承等がその柱にあり、豊かな人生(住民だけでなく、ツーリストも含めて)を求める取り組みをしています。

創造都市(Creative Cities)とは、「文化や芸術、産業・経済の調和が取れている都市」です。経済的豊かさだけでなく、その土地の文化(デザインや音楽、食文化など)とマッチしていることが必要とされます。日本では、名古屋市がデザイン都市としてユネスコに認定されているんですよぉ!(すごい!名古屋市)

私達の「自作」の旅は、レヴァントで「スローシティ」を、ボローニャでは「創造都市」を体感しました。


3)レヴァント:町の様子・人々の暮らし



Photo from the Cittaslow booklet
レヴァント(Levanto)は、町全体で「スローシティ」を実践している場所だと思います。誰かがブログでの旅日記に記していましたが、ツーリストにもとても優しい町です。ちょっとした心遣いで、ツーリストも地元の人も心が暖かくなるような「小さな気遣い」ができる町、また訪れてみたいなぁと思わせるそんな町です。

レヴァントは、最近注目を浴びているチンクエテッレ西の玄関として知られています。なので、チンクエテッレを訪れる人々は、電車や船、ハイキングで目的地へと向かってししまい、レヴァント自体をよく知ってみよう、探索してみようとあまりしません。この地が、「スローシティ」であること、住民や観光客の幸せのハーモニーを目指す町であることは残念ながらあまり知られていません。

ワイン祭りのバナーとカラフルな町並み
町並みをよく見るとわかるのですが、カラフルな中にも歴史を感じさせる面影があり、景観を補修しながら、次の世代へと受け継いでいきます。景観や町保存に関するアイディアを出した人は、表彰されるんですよ!

さりげない、外壁のオブジェ

レストランのエントランス
夕刻には、エントランスのランプが点灯し、ワインとピザを楽しむ人々が訪れます。花のディスプレイも素敵ですねぇ。フィレンツェを州都とするトスカーナ地方は、ワインで有名です。きっと美味しいワインがたのしめますね!



以下の写真は、この地図を参考にしてください。イタリア語と英語が混在していてごめんなさい。写真の( )内に名称を示しています。


Levantoの観光案内所(Visit Levanto)からは、Torre dell' orologio (Clock Tower 写真)が見えます。

Clock Tower (Torre dell' orologio)
さらに、観光案内所Visit Levanto)が面する通りから、一本東に入ったVia Guani通りには、中世時代からの歴史的建造物が立ち並んでいます。下の写真のような場所を通り抜けると、Loggia Medievale (Medieval "Loggia" 中世廊道)へ、そしてChiesa di S. Andrea (Saint  Andrew's church アンドレア教会)へと行き着きます。


Via Guani 地区を示すサイン
下の写真でも分かると思いますが、壁は、塗り直したり、繕ったり、あるいは現状のままだったり、その土地のエキスパートに相談しながら、プロジェクトを皆で共有して実行していくのです。



自転車も重要な移動手段です。色とりどりにペイントされた外壁やペイントが剥げてしまったむき出しの外壁も趣を添えています。レンガではなく石畳の道は、車も通行します。干されているタオルが人々の生活を物語っていません?

そうなんです!町のアイデンティティを大切にそのまま残しつつ、観光客と共存する。人口5万人以下の小さな町に住む人達皆が、「幸せ」を求めてプロジェクトに携わる、それが「スローシティ」の精神なのです。

Felix Coeli Porta: Joyous Gate of Heaven (天国への道)

お祭りの時には、イエス・キリストを海岸まで皆で担いだものだそうです。日本でも海でお神輿を担いでいるようなお祭りがありますよねぇ。そんな感じです。

Loggia Medievale (Medieval "Loggia" 中世廊道)
この場所で、スロー・シティプロジェクトに関わった人に話を聞きました。エアコンないんですが、とっても涼しかったです!

Photo by Julia Sakell used under CC
それはさておき、オリーブは標高300mが適地で、低地では虫がつくって知っていました?じゃあ、高地で栽培されたオリーブをどうやって運ぶんでしょうか?ブドウもそうです。昔はロバで運んだようなんですが・・・今は?

Photo by Luiz M. Santos used under CC
どの道で運ぶのか、どうやって運ぶのか、そんなプロジェクトをエキスパートに相談しながら、皆で共有して解決していく。誰かがやってくれる、誰かだけの問題でなく、「皆の問題」なんですね。そんな話に感動しました。「誰かに丸投げ、責任とりませ〜ん!」というどこかの国とは大違いじゃないですか?

Chiesa di S. Andrea (Saint Andrew's church アンドレア教会)
Chiesa di S. Andrea (S. Andrew's church アンドレア教会)のインテリア
最後に、レヴァントを西の玄関とするチンクエテッレ(Cingueterre)もそうですが、世界遺産に登録されツーリストが大挙来訪するからといって、大規模なホテルは建設しないというのも「スロー・シティ」の基本方針です。町のアイデンティティを失い、どの町も同じ町になってしまうからなんですね。

チンクエテッレ(Cingueterre)の探索を始める前に、レヴァント(Levanto)の良さを確かめてみませんか?

パート2では、創造都市ボローニャ(Bologna)の様子をレポートします。

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